《超高層建築》
最近は都心で新たな建築ブームが起こっているようだ。
それも超高層マンションなどが多いようで、東京はもとより大阪でも市内あちこちで馬鹿みたいなのっぽビルが建築されている。
中東のドバイあたりでもすごい超高層ビルが建てられていると言うから、ひょっとしたらグローバルなブームなのかも知れない。
確かに超高層と言うのは土地活用の面では有効な部分も多い。
また周辺には多くの空地を要求されるから、当然都市の緑化などにも貢献があるのだろう。
しかし住空間として考えたときにはどうなのだろうか?
《人の住む限界点》
都心の超高層マンションの高層階と言うのは一種のステータスになるらしい。
しかし数年前にどこかの週刊誌で特集していたのだが、超高層マンションの上層階に住む主婦に引き篭もりの傾向が出るとか、 子供の情緒不安定が多いとか言う記事があった。
そして欧米では住居に関しては徐々に中層、低層化していると言う報告も出ていた。
にも関わらず日本では都心部に超高層マンションが増加していると言うのである。
そういえば欧米ではダムを壊して、出来るだけ自然に近い状態で治水できるように改良している国もあると聞いたが、 日本では全くそう言う動きはない様である。
せいぜい計画中のダムを凍結するとかしないとかのレベルだろう。
住空間としての超高層建築物には何故高さの制限を設けないのだろうか?
それは人間が快適に、安定して、かつ心身ともに健康に居住できる条件に高度≠考慮していないからなのである。
確かに高度だけで言えばアンデスやチベットの高地に生活している人もいるのだが、そう言う高地に居住する人と、 超高層マンションに居住する人とは条件的に全く違う。
何故かと言えば、それは地面からの距離の違いなのである。
人間は農耕民族や狩猟民族を問わず、人類の発生以来大地に密着した生活を送ってきた。
だからこそ高いところへの憧れも生まれてきたのだろう。
しかし科学的に解明されていないだけで、地上からどれだけ離れて生活すると、どういう異常が、 どういう確率で発生するかと言うような研究が殆どされていないようなのである。
先の主婦の引き篭もりや子供の情緒不安定のような事が、もっと沢山データとして取られ発表されていれば、 みんなが真剣に考えるのだろう。
例えば『地上30階以上に5年以上、かつ1日8時間以上生活していると、癌の発生率が通常の3倍以上になる』 と言った具体的なデータである。
こう言うデータがきちっととれて公に発表されれば超高層マンションに憧れる人はぐっと減少するだろうし、 当然売れなくなるから建築する業者も控えるだろう。
当然人が快適に住める地上からの高度には限界点と言うのが存在するはずなのである。
まともな建築士ならこう言うことに気づくはずなのだが、施主はそう言う事を言う建築士を嫌がるだろう。
まあ山の自然の中に、醜悪なコンクリートのかたまりの要塞を作るような建築家が喜ばれるご時勢だから止むを得ない事なのかも知れない。
《超高層建築と気=t
気≠ニ言う視点から住空間の高度を考えると、地面から離れれば離れるほど環境は悪くなるといわざるを得ない。
大地の発する気=Aすなわち地の気≠ヘ植物や農作物を育み、家畜を育みそして我々人類をも育んで来たのである。
それも現在では大地がコンクリートに覆われている事から、その地の気≠フ恩恵もかなり低下してきている。
そこに地上何十階と言う様な住環境が作られ、そこで人間が生まれて育っていくような事が当たり前になっていくと、 今まででは考えられないような現象が起こってくることは疑う余地が無い。
よくテレビなどで長寿村と言われる地域の事が紹介されるのだが、多くの場合それらは農村であることが多い。
間違ってもビルの谷間の地域であったり、どこどこの団地であることは無い。
つまり大地と自然の順行に結びついた生活が人を長寿と健康に導くのであって、 自然から離れれば離れるほどその結果は悪くなっていく事が考えられる。
少なくとも私は宝くじがあたっても超高層マンションは絶対に住まない。