《太平洋一人ぼっちに見る目標達成の法則》
昨日ケーブルテレビで、市川昆監督、石原裕次郎主演の『太平洋一人ぼっち』を観る機会があった。
ちょうど自分のトレーニングの予定時間だったのだが、たまたまついていたテレビに石原裕次郎が出ていたので、何気なく観ていると、 私の知っている裕次郎の映画とは全く違った流れなので、ついつい見入ってしまった。
ストーリーは裕次郎扮するヨット好きの青年が、親の勧める進学を拒み、家業を手伝いながらコツコツと金を貯めてヨットを別注し、 サンフランシスコを目指して単独航海に出ると言う内容だった。
つい見入ってしまった原因の一つは、裕次郎が大阪弁のセリフをしゃべっていた事にもあるのだが、ストーリーが進んで行く内に、 主人公が大阪出身の堀江 謙一さんである事が判って来た。
時代は1962年である。(映画では1963年になっていたように思ったが)
ちょうど小学生だった私は、テレビで堀江さんがマーメード号に乗って単独で太平洋を横断したと言うニュースを見た記憶もあり、 また殆ど裕次郎が一人で演じていると言う珍しさもあって、殆ど画面に釘付けになっていた。
小さなヨットで大阪港を夜陰に紛れて出航するまで、彼はコツコツと準備を整えて行く。
太平洋を横断するために必要な知識を吸収し、ヨットの操舵技術を学び経験を積む。
また航海に必要な機器を少しずつ整えて行く。
そして航海途中に起こりうるあらゆる場面を想定して、その対応の準備をする。
また航海の日数を割り出し、途中の生命維持に必要な物や、生活に必要な物を事細かにリストアップして整えて行く。
航海の途中何度も嵐や台風に見舞われるが、何とかそれらを乗り切り、その難局を乗り切るごとに、彼には余裕が出てくる。
これこそが経験のすごさなのだろう。
やがて目的地のサンフランシスコ(http://www.sf-japan.or.jp/) に夜中に到着するのだが、ここでも彼は慌てず、安全に寄航出来る様に朝になるのを待つのである。
妹役の浅岡ルリ子の可愛さ(当時)や、田中絹江、森雅之、などのキャストもそうなのだが、 私は始めて石原裕次郎の役者としての素晴らしさを観たように思った。
また日本にもこんな映画を撮れる人が居たのだと言う市川昆監督に対する敬意も持った。
本当にくだらない、日本の恥をさらすような映画を撮って巨匠と呼ばれている人間がのさばっている事や、 調子に乗ったお笑いタレントが面白半分に映画を作り、それをマスコミが面白おかしく取り上げる事を普段から不快に思っていただけに、 こう言う映画を撮れる監督が日本にももっと育ってくれば良いと思った。
しかし本題はそこにあるのではない。
この映画のストーリーそのものが、目標達成に至る原理原則を全て網羅していると言う点がすごいのである。
多くのサクセスストーリーが映画になっている。
しかしこの映画ほど目標達成のプロセスがシンプルに描かれているものも少ないだろう。
明確な目標を定め、周到な準備を積み重ね、いざ実現に向かった時には、その実現を阻む障害と命がけで闘っていく。
何度も自分を諦めかけながら、しかし結局は最後まであきらめないで目標に挑み続け、そして最後にはそれを達成する。
結局は最後まであきらめない者だけが勝ち残れると言う、明快な真理がそこに描かれている。
まさに積極的な人生とは航海なのだろう。
波に漂い、揉まれて翻弄されながら当てども無い人生を送る人もいれば、目標に向かって荒波を乗り越えながら人生を乗り切る人もいる。
同じ人生をどう生きるかは、その人の選択次第、心構え一つと言う事になるのだろう。